Bonne Année 2017 新年明けましておめでとうございます

新年明けましておめでとうございます。

 

職業柄、クリスマスから大晦日にかけ忙しい毎日を送っているうちに、あっという間にカレンダーは新しい年を刻み始めていました。

 

元旦は快晴。
日本の様に初日の出を見るという習慣はこちらにはありませんが、それでも山の合間から今年初めての太陽が姿を現し、その神々しい光が辺りを照らし始める様子は何ともいえないもの。

 

一年の計は元旦にあり。
この太陽の様に力強く、輝かしい一年になってくれると良いのですけれど。

とは言え、年の初めから暗いニュースになってしまうのが恐縮なのですが。

 

今冬、どこに行っても、どこにいても聞こえてくるのが

「 Où est la neige ?? 雪は一体どこ??」という言葉。

既に挨拶代わりの文句になってしまっています。

 

そう、11 月中旬以降ここシャモニーでは( フランス全土でも同様 )全く雪が降っていないのです。
毎度の事ながら「温暖化」の影響だとは言われていますが。
確かにここ 10 年ほど、アルプス地方では降雪期間が益々短くなる傾向にあり、その大きな原因の一つは世界的な気温の上昇だとされています。
2016 年は観測史上最も暑い年となったようで、11 月中旬には北極圏で平均を 20 ℃も上回る気温を記録したそうです。
但し、ここシャモニーではこの 12 月後半から、日中でも街中でマイナス 10 ℃から気温が上がる事がない日が続いたりと、例年以上の寒さ( 40 年来の大寒波などとも言われています )を記録しています。
全てを全て「温暖化の影響」にもできないかと思うのですが。

しかし記録的に「水の無い」12 月であったことは確か。

11 月中旬に大降雪があったにもかかわらず、それ以降頻繁に到来したフェーン現象がその後の雪不足に多大な影響を与えたとの事。
温かく、乾燥したこの風が例年にない程異常に長く続き、雨の到来を妨げていたそう( フェーン現象が 108.2 時間続いた所もあったとか )。

年間平均でノルマンディーからロワール、ブルターニュ地方で例年の 10 %の減、ピレネーやブッシュ・ド・ロームでは 20 %の減と 1959 年~ 2016 年の間で最も乾燥した年( 降雨量の少ない年 )であったようです。

「水の無い」= 気温は低いのに雪が降らない。

フランス全土のスキー場では悲しいことに 12 月の後半になっても下の写真の様な光景が広がっています。

1970 年代にフランスで最も降雪のあった町の一つ、シャモニー谷の最奥にあるツール ( 標高 1462 m )ですら、上右写真の様な状況。

 

12 月中旬は、フェーン現象の影響で夜間でも気温が氷点下に落ちることが無く、人工降雪機も稼働できない状態。
現在に至るまで、採算が取れないからという理由でカンパニーュ・ド・モンブランはツール・バルマのスキー場を全てのリフトと共に閉鎖( スノーシューやハイキングといったスキー以外の目的でもリフトが利用できない状態)。
小さな町(というより村)なので夏は登山、冬はスキー客以外の観光客が来る事はほとんどなし。

雪がなければスキー客も来る事がなく、ホテルやレストランはまるっきり閑散した状態。


集客の見込みがなければ従業員を雇うことも出来ず、 12 月中旬から雇う予定であったシーズンワーカーにもやむを得ず待機をお願いしているところがほとんどだそうです。

 

しかしシーズンワーカーにとってみれば、故郷に全てを残し「スーツケースを片手に一つだけ抱えて( あくまでもイメージですが )」やって来る人達がほとんど。
住居付きの仕事が近年益々減少するのに半比例し、リゾート地の賃貸料金は上がる一方。
給料が入ってくる見込みがつかないのに、どうやって暮らして行けるのか。
家賃すら払う事が出来ず、他の仕事を探すと言ってもどこも同じ状況なので涙ながらに荷物をたたんで故郷に帰る人も少なからず出てきているようです。

http://france3-regions.francetvinfo.fr/alpes/neige-chamonix-attend-son-tour-1159267.html

もちろんそれはシャモニーに限った事ではなく、イゼール、サヴォワ、オート・サヴォワ県のフレンチアルプスのスキー場で働く(働く予定の)120,000人のシーズンワーカーのうち40,000人が未だ仕事を始められていないとの事。

近年は益々冬のシーズン開始が遅れる一方で、終了が早くなるという短縮傾向が出ていたのですが、これほどまでに雪が無いのは初めて。

オート・サヴォワ県の少なくとも25,000人の冬の従業員( シーズンワーカーと期限付き従業員 )のうち「幸運にも」仕事を始められたのは全体の65%のみ。

クリスマスヴァカンス中はそれでも事前予約を取り消すことが出来ず、仕方なくやって来ていた人などでシャモニーなどの比較的大きな町では例年とあまり変わらないくらいの賑わいを見せていたのですが。
今後、2 月初旬に始まる冬のヴァカンスまでは集客が益々落ちてくるのは避けられない事でしょう。

そうなると、この 65 %の従業員の中でも今後期間的に失業状態にならざるを得なくなる者( chomage techniaue テクニカル的失業 )も出てくるはず。

 

そんな壊滅的な状況の中、国が「雪不足の影響」でダメージを受けている会社に補助金を出す事を決定。

シャモニーやレ・ズッシュ、ムジェーヴのスキー場を運営する カンパニーュ・ド・モンブランでも 900 名の従業員中 323 名にこの措置を実行( 給料の70%のを会社が払い、残りの30%を国が補助する )。
本来の仕事が出来ないでいるこの時期に研修の機会を設けたり、超過時間の回収や有給休暇の取得にあてがったりと、皆何とかこの苦しい期間を乗り越えようと試行錯誤しているようです。

http://www.francetvinfo.fr/meteo/neige/ski-la-galere-des-saisonniers_1990567.html

気温が低下し始めた12月下旬以降、降雪機の稼働でシャモニーでは全体のコースのうちの 40 %をオープンできるようになったとこのこですが。

ただその内容を見てみると( 使用可能なコース数 / 全コース数 )グラン・モンテは 8 / 23、ブレバンは 5 / 21、フレジェール は 6 / 21、なんとツール・バルム に至っては 1 / 28。
しかもグラン・モンテを除いては初心者コース( 下の図でいう緑の線 )がそのほとんどを占めているので、現実的には滑れる場所がほとんどないということ。
またレ・ズッシュでも全体の20パーセントしかオープンできていないとか。

オート・サヴォワ県ではスキー場全体の売り上げは 2015 年の 12 月と比べると 20 %もダウンしたそうです。

 

但し、嘆いているだけでは仕方がないと、普通であれば「夏のスポーツ」とされるところのVTT( マウンテンバイク )やサマーリュージュ、パラグライダーなどに力を入れる町村( シャモニーも例外でなく )も出てきているようです。

重いスキーやスノーシューを脱ぎ夏の様に乾いた土の上での登山を楽しんだりと現状を受け入れている( 受け入れざるを得ないといったところでしょうが )ヴァカンス客も多く。

それでも残念ながらスキーと同じようなインパクトや売り上げをあげる事ができないでいるのが事実。

 

「雪やこんこん、あられやこんこん。降っても降ってもまだ降りやまず、、、。」と歌えるようになる日は来てくれるのでしょうか。

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